一升びんは日本独自の共通規格びんで、リユースびんの代表格として認識されていますが、近年は出荷数量の減少、回収率の低下といった問題を抱えております。
日本酒造組合中央会の調査によると、回収率・再使用率低下の要因は1〜4などがあげられます。
酒屋の減少によって家庭から発生する一升びんの回収ルートとしてはほとんど唯一ルートになりつつあります。そこで、平成27年度に全国の市区町村(全国の1,741団体対象、平成27年12月7日~平成28年1月31日に実施。回答数1,044件、回答率 60%)に対してアンケート調査を行い、回収の実態を把握しました。その調査結果をご紹介します。
排出源での回収ならびに選別施設での選別を含め、一升びんを回収・選別している市区町村は442団体で42.3%ということが分かりました。
回収量の多い自治体において共通していることは、コンテナ回収をすることによってびんを破損しないよう配慮しており、そのため平ボディー車で回収し、収集時に一升びんのみコンテナを分けて積み込むなどの工夫を行っていいます。
自治体 | 人口 | 総回収量 | 1人あたり |
---|---|---|---|
宮城県仙台市 | 1,083,079 | 425,198 | 0.39 |
東京都大田区 | 712,000 | 212,584 | 0.37 |
東京都八王子市 | 562,795 | 207,327 | 0.37 |
自治体 | 人口 | 総回収量 | 1人あたり |
---|---|---|---|
茨城県北茨城市 | 43,809 | 119,594 | 2.73 |
高知県安芸市 | 18,301 | 42,100 | 2.30 |
千葉県勝浦市 | 19,211 | 23,905 | 1.24 |
人口1人あたりの回収量0.07本(回答自治体に基づき平均値を算出)を全国の人口に乗じて推計した場合、自治体による回収量は約875万本となります。平成27年度の一升びんによる日本酒等の出荷量は約1億4500万本で、うち家庭での消費は2割程度と推定されています。この推計によると、自治体ルートで3割が回収されていることになります。
回収量の多い自治体の取組をご紹介します。
Ⅰ 混合収集(びん・缶・PET) | Ⅱ びん一括収集 | Ⅲ 色別収集 | |
---|---|---|---|
自治体名 | 仙台市 | 八王子市 | 勝浦市 |
回収容器 | コンテナ | コンテナ | コンテナ |
収集車両 | ウイング車 |
平ボディ車 |
平ボディー車 |
回収主体 | 収集〜選別まで民間委託 | 収集〜選別まで民間委託 | 収集〜選別まで民間委託 |
選別方法 | 資源化センターで手選別 | 手選別(収集時に選別) | 手選別(収集時に選別) |
人口規模 | 大規模都市 | 中規模都市 | 小規模都市 |
回収びんの品質については各メーカー、検査機や目視で入念に検査を行っており、欠品率は数%です。糊跡やびんの口欠け、長期間放置されることでできる口サビなどが問題となっています。
近年、特定名称酒や生酒等の増加により冷蔵に強い、剥がれにくいラベルが増加しています。剥がれにくいラベルは洗びんの効率を妨げ、洗びんのコスト増や回収びんの品質低下につながっています。再使用に配慮したラベルの選択に向けた意識啓発が必要です。