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持続可能な「協働型集団回収」についての考察

研究員  南 明紀子

1.はじめに

 行政による分別収集だけではなく、集団回収・拠点回収・店頭回収といった多様なシステムによって資源回収を促進することにより、社会コスト削減、リサイクル率向上、コミュニティ活性化といった効果が期待される。

 その趣旨の下、平成17 年よりスチール缶リサイクル協会と(株)ダイナックス都市環境研究所が取り組んできた「民間主体回収の可能性に関する調査・研究事業」では、21 年3月までに全国41 自治体へ主に集団回収についてヒアリングおよび実地調査を行った。また、同時に毎年実施している「スチール缶の資源化に関するアンケート」では全国806 市区を対象に集団回収事業に関する基礎情報を収集分析している。

 その結果、集団回収システムは地域性、行政の施策、回収業者の有無などの環境によって様々なバリエーションがあるものの、集団回収として成立し、かつ持続性を保つ仕組みとするにはいくつかの要因があることが明らかになってきた。それらの要因を検討すると共に今後の可能性・課題について考察する。

2.集団回収の歴史と現状

 かつては「廃品回収」と呼ばれていた住民と資源回収業者間(以下「業者」)での資源回収システムでは、行政はリヤカーなどの物品提供や集団回収実施団体(以下「団体」)・業者間の調整を実施する場合も見られた。その後高度経済成長に伴いごみ問題が深刻化する中で、集団回収では価値が低く扱い難い資源物であるびん缶等を行政が分別収集するようになった1)。

 しかし、集団回収での中心回収品目であった古紙の回収量過多により、1990 年代に古紙価格が暴落した際、古紙を分別収集品目に加えると共に業者や団体に金銭的補助を実施し、集団回収を支援する自治体が増えたため、集団回収における自治体の役割が次第に拡大してきた。平成20 年度に実施したアンケート調査によると、集団回収を実施している自治体は回答のあった703 市区中79.8%の561 市区にも上る(図1 参照)2)。

 ここで示す「実施」とは自治体が何らかの形で関与しているという意味であり、実際の支援内容は表1 にまとめた。最も一般的な支援策は団体への奨励金交付(91.3%)で、その他には集団回収に関するPRや広報(40.3%)、業者への補助金交付(26.7%)と続く。集団回収の対象品目は自治体により様々だが、採算性の高い古紙(98.2%)、アルミ缶(80.2%)が中心となっている。さらに19 年度実績では、資源物全般への奨励金額は5 円/kg 前後、補助金額は3 円以下/kg が一般的なようである2)。

 以上を踏まえ、地域性や人口規模、年間回収量等を考慮し選定した自治体において実地調査を行った。

集団回収実施の有無:自治体の支援内容
3.協働型集団回収の意義

 本調査では団体・業者・行政がそれぞれの何らかの役割を補完しながら、ごみの減量・資源化等を目的として実施している集団回収を「協働型集団回収」と名付けた3)。従来の住民−回収業者間の資源回収に行政が関与することによって持続性を向上するための様々なメリットが生まれる(図2 は1 例として掲載)。

 例えば「実態把握」。団体へ奨励金を交付している自治体では多くの場合、団体の登録制度を設け回収量に応じて奨励金を交付する。このシステムにより、自治体は集団回収量や実施地域を把握することが可能になり、分別収集量との比較や住民への情報提供など連携が生まれ、必要であれば集団回収への参加促進を働きかけることもある。同じことは業者に対しても言え、売上は見込めない資源物でも補助金が運搬費に充当できる程度であれば取扱品目に加えることも可能となり、包括的な資源回収へと繋がる。

 またもう1 点として「コスト削減」が挙げられる。集団回収の促進に伴い、本来行政で処理していた資源物が集団回収へ移行することで処理運搬費が削減される例が多い。関東地方にある人口50万人規模の都市では、分別収集コストではびん缶約70 円/kg、紙布約20 円/kg に対し集団回収は5 円/kg となり、集団回収の有効性を認識し積極的に奨励している4)。一方団体にとっても、回収量に応じた奨励金を受け取ることができるため、市況変動で業者からの売却金が一時的に減少したとしても集団回収を継続する可能性が高くなる。

協働型集団回収モデル
4.持続する要因

 集団回収は行政にはコスト削減・分別意識向上、住民には地域交流・活動費確保、業者には取扱量の増加といった、各主体にメリットがあるからこそ全国に拡大したことが分かる。しかし、多くの場合住民が自主的に始める活動であるため、少子化や、自治会未加入者の増加で持続的な活動に繋がらない団体も多い。それでも従来の民間取引とは異なり、行政が集団回収の意義を認識し働きかけや支援を行うことによって持続的なシステムへと移行する可能性は大きいはずである。

 そこでこれまでの調査から類推してみたところ、自治体により異なる集団回収システムにおいて「情報提供」「人員確保」「回収方法」「金銭的(物的)支援」という4 つの要因が回収活動を持続的なものにするための鍵となると考えた。この4 要因を実証するため、集団回収量・回収対象品目が多く事業として実績のある39 自治体に対しヒアリング調査を実施、各手法を類型化している(表2〜5参照)4)。情報提供と金銭的支援については自治体の施策を、人員確保と回収方法については団体により異なるため、ヒアリングを実施した団体を対象に分類したものである。

 結果、下記に示す通り持続的な集団回収手法の傾向が見えてきた。特に自治体が仲介者的な役割を果たす情報提供手法においては、三者間での協力体制がシステム化されている自治体ほど集団回収の比重も大きく団体・業者と連携しながら円滑な活動へと繋げている。


(1)情報提供
 集団回収の情報はHPや広報誌において情報提供することが一般的である。また集団回収事業を立ち上げる際に協力体制が出来上がり、その関係性が継続している場合が多く見られる。

情報提供方法

(2)人員確保
 回収作業は重労働な作業であり、大規模な場合は作業が5時間程に及ぶ団体もある。当番制は個人の負担が減少するが人手が必要なため、役員を中心に少人数で実施する団体が多い。

回収人員確保手法

(3)回収方法
 最低限業者が回収に来るまでの一時保管場所が必要なため、スペースの確保が活動継続には重要となる。そのため、多くが利便性が高くスペースのある公民館・公園・学校を拠点として回収している。

資源物回収方法

(4)金銭的支援
 アンケートでも実施割合が一番高い金銭的支援だが、市況の変動に合わせて金額を改定することが自治体と団体双方が納得でき、負担の比較的少ない手法のようである。

金銭的支援手法
5.課題・展望

 まずリサイクルよりも採算性を重要視する団体に対し、古紙・アルミ缶以外にも集団回収品目を拡大していく、または拡大に繋がる回収ルートやシステムを構築していくことも今後必要になっていくだろう。市況が悪いと消極的になってしまう団体に対しては、逆有償分の損失補填等も有効となる。また、分別収集コストとの比較をしている自治体が少なく、施策における双方の関係性が明確ではないことも多い。集団回収はコスト効率化のツールでもあるため、コスト面からの視点を持つことも重要である。

 アンケート調査の結果を見ると、集団回収を「積極的に拡大する」と考えている自治体が27.9%あった(図3 参照)4)。これらの自治体では特に実施団体の増加や回収品目・回収量の拡大が期待される。

今後の集団回収事業について

 近年一部の自治体では行政回収をやめ、集団回収にシフトする動きも出ており、集団回収を資源回収の「メインルート」と考え補完的に分別収集を実施しているという回答も58 自治体(10.3%)から得ている4)。ただし集団回収への移行も一つの合理化手法だが、住民に高齢者層が多い、または居住地区が比較的狭い範囲に集中している、といった地域性によっては行政回収と集団回収を並行実施すると共に拠点回収・店頭回収といった複合的な資源回収ルートを利用することでより効率化を図ることができると考える。

 今後は金銭的支援のみならず、ごみ袋・登り旗等の物的支援の実態を調査すると共に、スーパー等の店頭回収ルートや近年民間や行政が設置するケースが増加してきている拠点回収ルートとの相乗効果や連携についても検討していきたい。