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沖縄県の離島におけるごみ処理とリサイクルの課題

代表取締役所長  山本 耕平

1.研究の目的

 容器包装リサイクル法をはじめとするリサイクル関連法の整備によって、日本のリサイクルは大きく進展したが、離島地域では本土への運搬コストがかかる等、地理的なハンデが大きい。このような離島ゆえの問題は法律が想定していないもので、各自治体が知恵を絞って対処しているのが実情である。また一般廃棄物処理の効率化を進めたくとも、広域化は難しく、民間業者の力も弱い。本研究は上記のような背景をふまえ、特に問題が顕著な沖縄県の離島の実態を調査し、現行制度における問題点や対策を検討することを目的として実施したものである。なお本研究は、沖縄海邦銀行の「2011年度かいぎん環境貢献基金助成事業」の助成を受けて実施したもので、本稿はその成果の一部である。

2.離島のごみ処理の概況

 沖縄には、沖縄本島以外に有人島が49、無人島が111島ある。各離島のごみ処理は、それぞれ市町村ごとに行われており、おおむね各市町村には1カ所以上の焼却施設がある。
 人口の多い石垣島や宮古島では準連炉が採用されているが、他の離島では基本的にバッチ炉である。ダイオキシン規制を受けて、平成15年以降に建て替えられた施設が多いが、施設整備には大きな問題がある。第一はごみの発生量に対して処理能力が過大であることである。新設された施設は、おおむね処理能力は日量3トンから7トンのものが多いが、大半が過大になっている。例えば、本島北部の伊江島(人口約5000人)は平成16年に竣工した機械化バッチ炉(7トン/8時間)で処理しているが、年間の処理量は平成21年度で645トン、稼働日数は100日足らずということになる。北大東島(541人)は一日処理能力2トンの炉をもっており、年間の処理量は199トン、こちらも稼働日数は100日程度である 註1)。特に、座間味島と渡名喜島では小型のガス化溶融炉を導入したため、運転コストがきわめて高くつき、村の財政に深刻な問題をもたらしており、事実上休止している。
 離島はもともとごみの発生量は少ないが、観光客が多い島ではPETボトルなど容器包装廃棄物の発生が多い。容器包装廃棄物は様々な形で回収され、島外に搬出してリサイクルしている。選別保管のためのリサイクルセンターを建設している島もあるが、回収したものをそのままフレコンなどで島外へ搬出しているところもある。容器包装リサイクル法に対応するためには、分別基準適合物に合致するように選別・圧縮などを行う必要があるが、そもそも人口も発生量も少ない離島で、都市部並みの中間処理を行う必要があるのかどうか疑問である。

3.竹富町の事例

 以上のような課題を、具体例を通して検証したい。竹富町(約4000人)は八重山圏域に属する竹富島(313人)、西表島(2215人)、黒島(206人)、鳩間島(42人)、小浜島(584人)、波照間島(535人)など9の有人島と7つの無人島からなる町で、島を結ぶ航路は石垣港を起点としているため、町役場は石垣市内にある。
 竹富町では平成17年度から分別収集を開始し、平成22年9月1日からごみの有料化を開始した。分別区分は「もやすゴミ」、「もやさないゴミ、有害ゴミ」、「資源ゴミ」、「粗大ゴミ」の4区分で、粗大ゴミを除いてそれぞれ各週1回収集、粗大ゴミは申込み制で月2回収集である。
 竹富町では、生ごみ・落ち葉・貝殻は収集しない。生ごみ類は、各島の公民館等に大型生ごみ堆肥化容器「トラッシュ」を全町で21か所に設置(地中に埋設)し、自家処理するかまたはこの堆肥化容器に各自で投入することとなっている(写真)。可燃ごみのごみ処理施設として、各島に小型の焼却炉を設置(竹富島、小浜島、黒島、波照間島、鳩間島、西表島)し、生ごみ以外の可燃ごみはここで焼却している。有機物は少ないので、紙おむつなど衛生的に焼却が望ましいものを処理している。焼却炉は固定炉のバッチ式で、炉の稼働は夏は毎日、冬は2〜3日に1回(夏は観光客のごみが増えるため)。焼却炉がなかった4年前は野焼きをしていた。管理型の最終処分場を2005年に西表島に開設、各島の焼却灰や不燃物はここで処分される。
 缶、PET-ボトル、容器包装プラスチックは有料の指定袋で週一回収集。古紙類は「もやすゴミ」の日に束ねて収集し、そのままフレコンバッグに入れて島外に搬出する。段ボールはかさばってフレコンバッグに入らないため、焼却している。もやすごみの1/4は段ボールが占めている。「資源ゴミ」は各島ごとに保管施設があり、そこで選別し、PETボトルのみプレスする。その他の資源は選別してフレコンバッグで保管し、定期的に搬出して西表島のリサイクル施設でプレス等の中間処理を行っている。
 竹富町の場合、焼却灰と資源物は西表島の施設で処理されるが、各島から西表島に集積するためには、いったん石垣港を経由しなければならず、非常に輸送コストがかかることが問題である。ヒアリングによると、竹富町内の各島の拠点から西表島までの町内の輸送費は10フィートコンテナ(長3m×巾2.5m×高2.5m)で約3万5千円かかるという。石垣の港運業者によると、石垣港から沖縄本島まで10フィートコンテナの通常の運賃は約15万円、資源物は特別に約4万円としているという。
 いずれにせよ、離島では運搬コストが廃棄物処理の大きな問題である。

ホイアン市の位置

大型生ごみ堆肥化容器「トラッシュ」

4.まとめ

 以上、これまでの調査や知見にもとづいて、島嶼地域の問題を整理すると、以下のようにまとめることができる。

(1)島内処理
 離島は人口が少なく、行政基盤も弱いため、高性能な焼却炉を設けることは問題が多い。メンテナンスにコストがかかることや、故障した場合に迅速な修理が難しいことが問題である。小型溶融炉を導入して失敗した事例に見るように、未成熟な技術を扱えるだけの自治体の能力も課題である。
 優れたモデルとして評価できるのは竹富町の例で、焼却ごみは紙くずやおむつなど最低限のごみに限定し、生ごみは自家処理か生ごみトラッシュという生ごみ処理容器で処理している。生ごみを分けることで残りのごみが扱いやすくなり、小型焼却炉も安定的な処理が可能となっている。このような方法は他の離島でも十分に取り入れられる方法である。
 沖縄県の資料によると、西表島、石垣島、宮古島など13の離島に最終処分場がある。土地に限界がある離島においては、最終処分場を次々と建設することはきわめて困難である。また現状では自治体の管理する処分場はあるが、産業廃棄物に該当する廃棄物を処分する施設はほとんどないのが実情である。離島では処理能力・技術を持つ産業廃棄物処理業者がほとんどいないので、一般廃棄物、産業廃棄物を峻別して、排出者に産業廃棄物の処理責任を求めることは難しい。一般廃棄物、産業廃棄物の区別は必要であるが、島内で発生する廃棄物を包括的にとらえて適正処理を進めていくという考え方が必要である。具体的には,一般廃棄物の処理施設で処理できるものは処理することや、島内で処理できない産業廃棄物は厳正に管理して(不法投棄がなされないように)島外に搬出する仕組みと監視する方法を講じることが望まれる。

(2)海上輸送
 離島ではすべてのごみを島内で処理できないため、島外に移出する必要がある。海上輸送は陸上輸送と比較して、船への積み卸し、コンテナの取り扱いなどの手間がかかり、陸上輸送に加えてその分のコストがかかる。
 国内の離島では自治体で船を運航している場合もあるが、民間輸送業者の場合は航路の制限や価格が高いなどの問題が指摘されている。竹富町では各島は石垣経由の航路でしかつながっていないため、特に輸送の効率が悪い。竹富町の場合、各島の焼却灰をドラム缶に詰めて、これをコンテナに積み込んで陸送−海上輸送−陸送し、ドラム缶を開封して処分場に投棄するという方法をとる。量がそれほど多くないので特段の問題はないが、竹富モデルを他の離島に敷衍する場合は輸送の方法を工夫して効率化を図る必要がある。
 廃棄物の陸上輸送においては、飛散防止や運送効率を高めるために圧縮コンテナなどが利用されている。こうした技術を応用して、海上輸送の効率化を図ることが必要である。

(3)リサイクル関連法との関係
 容リ法では、指定保管場所からの輸送は全て容リ協会が負担することになっているが、自治体内における指定保管場所までの輸送費は自治体が負担することになる。指定保管場所は基本的に1自治体1カ所とされているため、小さな島がたくさんある自治体では、人口が少なくても収集運搬しなければならず輸送費が嵩むことになる。竹富町は(財)容器包装リサイクル協会と協議の上、指定保管場所を5カ所認めてもらっているが、あくまで例外的な措置である。法律は離島を想定していないので、運用においてきめ細かな配慮が必要である。
 ちなみに自動車リサイクル法では、離島対策支援事業として離島から本土への使用済自動車の海上輸送費用のうち8割を助成している。離島では廃自動車対策が特に深刻な問題であったことから、こうした配慮がなされたものだが、他の廃棄物においても離島独自の問題については制度を柔軟に運用することが求められるが、離島が直面する課題に対して関係者の認識の共有を図ることが重要である。


  • 注1) 「離島関係資料(平成23年1月)」(沖縄県)