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離島自治体における容器包装リサイクルルート効率化の可能性

研究員  南 明紀子

1.はじめに

 容器包装リサイクル法(以下「容リ法」)の平成7年制定以降、容器包装類の分別収集を開始する自治体が急速に拡大していった。スチール缶リサイクル協会が毎年全国の区市を対象に実施している「スチール缶の資源化に関するアンケート」からも、平成8年調査では56.7%だった分別収集の実施率が平成12年調査では91.2%に急増していることが分かる(図1参照) 註1)。
 直近の平成23年調査では全国704区市中、分別収集未実施自治体は0.3%に過ぎず、これらの自治体が分別収集を実施していない理由は、全市域をカバーする集団回収等の資源回収システムを展開していることによる場合が多い。スチール缶スクラップの売却価格を見ても、大半の自治体が有償で売却しており(図2参照) 註2)、有価で循環するシステムができていると考えられる。
 しかし、容リ法のシステムにおいて離島自治体は、地理的要因等により標準よりもコスト負担が大きいと予測される。ここでは、調査結果を踏まえた上で、より効率の良いリサイクルルートに繋げるための可能性について考察する。

分別収集実施の有無

図1 分別収集実施の有無

2.離島自治体の現状と課題

 個別リサイクル法の制定により、離島自治体でも本島の自治体とほぼ同じくリサイクルに取り組んでいるものの、通常の収集運搬コストへ更に「海上輸送費」が上乗せされることがコスト高の一番の要因となっている。自動車や家電については、不法投棄が問題となりながらも業界が運送費の一部を負担しており(離島対策事業協力 註3))、ある程度の負担軽減策を取っている。一方容器包装のうち、PETボトル、プラスチック製容器包装、紙製容器包装、ガラスびんの4品目については自治体の一時保管施設からの運搬は(公財)日本容器包装リサイクル協会(以下「容リ協」)が負担している。ただし、容リルートにより処理できる品目についても、分別基準適合物を満たすための選別作業による負担と、独自ルートによる逆有償の負担を比較し、独自ルートを選択する自治体ある。
 一方、再商品化義務を免除されているスチール缶、アルミ缶、段ボール、飲料用紙製容器包装は自治体が負担する必要があるため、輸送・処理方法によっては売却益を考慮しても逆有償となってしまう可能性がある。
 以上の状況を踏まえ、地域性を考慮し選定した5箇所の離島自治体において実地調査を行った。

スチール缶プレスの売却状況(平成22年度)

図2 スチール缶プレスの売却状況(平成22年度)

3.処理の現状

 実地調査の中から、効率化を念頭に置いた上で、特徴的な要因、課題を以下に挙げる。

3−1.八重山諸島の場合 −運搬ルートの効率性−
 八重山諸島など沖縄県の離島では、自治体による中間処理後は主に沖縄本島へ運搬される。しかし、多くの場合輸送ルートは民間会社の既存航路に従って決められてしまうため、航路によっては非効率なルートとなる。例えば、竹富町は9つの有人島を有し各島で収集をしているが、中間処理施設のある西表島への航路が石垣島(石垣市)からしか出ていないため、一度石垣港を経由して西表島へ輸送している(図3参照)。中間処理後は沖縄本島の事業者に売却されているが、西表島から本島への直行便が無いため、ここでも一度石垣島を経由して輸送される 註4)。
 このことから、もし、竹富町の資源物を石垣市の中間処理施設で処理する、または石垣市の資源物と一括して売却するといった広域化によっても、状況は全く異なるものになる可能性がある。

竹富町の輸送ルート

図3 竹富町の輸送ルート


3−2.伊豆諸島の場合 −入札制度の導入−
 伊豆諸島は本島からの距離が比較的近い自治体が多く、主に資源物の輸送には竹芝のターミナルを利用している。調査を実施した自治体では、平成18年度まで随意契約の中間処理業者へスチール缶を持ち込んでおり逆有償となっていたが、19年度から入札制度を導入したところ有償化した。有償化の要因は、落札業者が自動車等鉄類の中間処理を専門としており、鉄スクラップを積んだコンテナの隙間を活用してスチール缶スクラップを輸送するなど、運搬・積載に関する高いノウハウを有していたことが大きい。

3−3.日本海の離島の場合 −トラック輸送による効率化−
 当該自治体は、本島との距離が近いということと、運行されているフェリーが客船であることから、コンテナではなくトラックに資源物を積みそのまま運搬していることにより、結果的にコストの効率化に繋がっている。通常、海上輸送する場合は船による運搬費の他に港湾作業費(荷役料)や揚場使用料などが別途発生する。そのため、例えば時化で1晩積込作業が延びるだけで70万円(1200t級船の場合)という港もあるため、船への積込作業の効率化も重要なポイントとなる。トラック輸送であれば、発着どちらの港でも荷役作業が発生しないため、追加コストも発生しない。

3−4.自治体間の比較
 調査自治体のうち3自治体の特徴を表1にまとめた。いずれの自治体も輸送方法は全く異なるが、スチール缶の売却価格を見ると、運搬費を考慮した上でも平成23年の全国平均売却価格24,000円/tと比較して遜色なく取引されていることが分かる。自治体により航路や売却先、資源物の質も異なるため単純な比較はできないが、多品目での一括搬出や一定量が溜まるまでストックする、といった工夫による部分も大きいだろう。

輸送方法の自治体間比較

表1 輸送方法の自治体間比較
※運賃はスチール缶だけではなく他の資源物も含めた金額

4.効率化の可能性要因

 以上の調査結果を踏まえ、リサイクルルートにおける海上輸送効率化の可能性に注目しまとめると、要因として考えられる点は@海上運搬ルート、A入札制度、B輸送手段、が重要と考えられる。

@海上運搬ルート:町村が船を所有している一部の場合を除き、既存の民間航路に頼らざるをえない現状では、効率の良いルートを利用できるか、または資源物の輸送ということで割引を適用してもらえるような良心的な港運会社が島内にいるかといった点も重要となる。また、小規模な島を複数抱える自治体では、各島の漁船に委託し収集した資源物を中間処理施設のある島まで運搬させることでコスト削減を図っている。 A入札制度:離島は小さなコミュニティの中で、地縁による関係が強い傾向にあるが、島外の業者も含めた入札を実施することにより、競争が生まれる。効率的な中間処理・輸送手段を持つ業者が介入することで、自治体負担の低減に繋がる。 B輸送手段:各島の条件により、一番効率的な方法は異なるかもしれないが、例えばコンテナ輸送であればコンテナの大きさとベールの幅を合わせることで輸送効率が大きく向上する(写真1)。他にも、廃自動車を輸送する際に自動車の荷台にスクラップを詰めるなど、これらは業者のノウハウに大きく依存する部分であり、同時に効率化の可能性が大きい部分でもある。

コンテナにPETボトルのベールを積み込む様子

写真1 コンテナにPETボトルのベールを積み込む様子

 離島における家電の収集運搬費の場合、6割近くを海上輸送コストが占めるというデータもある(図4参照)。この傾向は、容器包装についてもほぼ同じであると考えられ、多くの自治体において海上輸送費が課題となっていることは、離島振興法に基づき策定された離島振興計画でも明らかである。つまり、いかに効率よく海上輸送するかによって自治体の負担が大きく異なると言える。もちろん、ごみ処理全体を考えれば、その他にも発生量の確保(広域処理)、直営から委託への転換、びん・缶・PETボトルのような一括回収から品目ごとの個別回収への変更、といった本島の自治体と共通する要因も効率化に繋がることは言うまでもない。
 今後は、更に輸送条件や処理の現状を調査・整理し、離島自治体間の情報交換の場を設定することで、より良いリサイクルルート構築に繋げていきたい。

離島における収集運搬料金の内訳(家電の場合)

図4 離島における収集運搬料金の内訳(家電の場合)註5)

註<参考文献>
    1)スチール缶リサイクル協会, スチール缶リサイクル年次レポート1996−2011
    2)スチール缶リサイクル協会, スチール缶リサイクル年次レポート2011, pp.8-13(2011)
    3)一般財団法人家電製品協会, 離島対策事業協力, http://www.aeha.or.jp/recycle/summary.html, (2012年7月現在)
    4)沖縄リサイクル運動市民の会, 離島のごみ処理とリサイクルの現状報告書(2012)
    5)産構審環境部会廃棄物・リサイクル小委員会、中環審廃棄物・リサイクル部会合同会合, 収集運搬システムの改善策の検討について, p.11(2007)