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ベトナム国ホイアン市における家庭ごみの組成と排出実態について

代表取締役所長  山本 耕平

はじめに

 本稿は、沖縄リサイクル運動市民の会(Okinawa Citizen’s Recycling Movement 、以下OCRMと略す)がベトナム中部のホイアン市でJICA草の根ODA事業として実施している「ホイアン・那覇モデルのごみ減量プロジェクト」の一環として、2013年6月に実施したごみ組成調査とごみ家計簿調査(排出源実態調査)の結果をまとめたものである。(注1)
 ホイアン市は世界遺産の町並みのある観光地である。地元にはスーパーはなく買い物は対面の市場で行う。農漁業に従事する人が多く、市民の消費行動やごみの発生状況はダナンやハノイのような大都市とは明らかに様相が異なると推察される。したがってごみ減量対策もホイアン市の特性に応じた手法を取り入れることが必要である。そこで、地区特性ごとのごみ組成調査を実施すると共に、「ごみ家計簿」により家庭でのごみの発生状況と処理の方法を調査した。

ホイアン市の位置

ホイアン市の位置

1.ホイアン市のごみ処理の概要

 ホイアン市ではほぼ全域でごみ収集が実施されている。中心部では毎日収集が行われており、郊外や農村部は週3回、週1回のエリアがある。収集はパッカー車やトラックで行われ、基本的に各戸収集、混合状態で排出される。2012年からフランスの支援によるコンポスト施設が稼働したため、一部地域で「分解性ごみ」と「非分解性ごみ」の2種分別の試行が行われている。収集したごみのほとんどはコンポスト施設に搬入される。ごみの収集およびコンポスト施設の運転管理、処分場の管理などの現業部門は公共事業公社が行っている。コンポスト施設は処理能力55t/日(8時間)で、ほぼフル稼働している。処分場は覆土も水処理もしないオープンダンプ式である。現地でのヒアリングによると、コンポスト施設への搬入ごみの65%程度が処分場に投棄されている。

表1

表1 ホイアン市のごみ処理の概要

2.ごみ組成調査

 ホイアン市は、島を除いて12の地区がある。組成調査はそのうち3地区と中心部の市場(生鮮食品、雑貨の個人商店の集積)のごみ、観光地でもある旧市街地に設置されている街頭ごみ容器の5つのサンプルを調べた。(調査時期は2013年6月24日〜26日)当該地区のごみ収集日に対象エリアのごみ100〜180?を別に収集し、破袋してよく攪拌し、四分の一〜半分に縮分したものを分類項目にしたがって選別、計量した。

 組成の分類項目は、厨芥(調理屑、食べ残し)/草木類/繊維/その他可燃(紙おむつ等)/プラスチック(硬質、軟質、ペットボトル)/皮・ゴム/ガラス/金属(アルミ缶、スチール缶)/家電/紙類(新聞・雑誌、段ボール)/有害ごみ(電池、蛍光灯、医療系ごみ等)/その他、である。 組成調査(総計)の結果を図1に示す。

図1

図1 組成調査結果(総計447?)

 全体の傾向としていえることは、厨芥と草木類(有機系ごみ)の比率が極めて高く、全体の67.2%を占めている。次いで紙おむつや汚れた紙屑等の可燃物が10.7%、軟質プラスチック(プラスチック袋)が9.6%となっている。金属や紙類などのリサイクルできるものはほとんどごみとして排出されていない。分別モデル地区では、分解しやすいごみ、分解しにくいごみという2種分別を試行している。モデル地区の分解性ごみの組成は、厨芥と草木類で92.4%を占め、分別率は高い。逆に非分解性ごみの組成には厨芥・草木類が28.3%混入している。

 亜熱帯のベトナムは多種多様な草木が繁茂しており、これらの落葉、落果が大量に発生する。ごみ収集が行われる以前は自宅の庭や近隣の空地に埋め立てる等の処理を行っていたが、ごみの収集が始まるとごみとして出す家庭が増えたという。また厨芥の中身を詳細に観察すると、食べ残し(残飯)はきわめて少なく調理屑(野菜屑、果実の皮など)が大半を占める。ベトナムも米飯、麺類を多食するが、こうした食材はほとんど見あたらなかった。

3.ごみ家計簿調査

 ごみ家計簿調査(排出源実態調査)は、市内5地区の一般家庭100世帯ずつを選んで実施した。2013年6月19日から30日の間の任意の1週間に各家庭で発生した不用物のうち、厨芥/草木類/紙屑/繊維/紙おむつ等汚れたごみ/プラスチック/ペットボトル/ガラスびん/空き缶/新聞・段ボール等、のそれぞれについて重量(容器については本数)を記録し、@市のごみ収集に排出、A家で処理(堆肥化、埋める)、B家畜の餌、Cリサイクル業者に売却、D売却するために保管、のどの方法で処理したかを記入してもらった。配布数500に対して有効回答数は427サンプル(85.4%)であった。

図2

図2 5地区の全不用物の割合

 全サンプル家庭で1週間に発生した不用物の量は約6.1トンで、1世帯あたり14.4?、1世帯1日あたりでは約2?となる。回答世帯の家族数は全部で1864人であったので、ここから1人1日あたりの発生量は470gとなる。発生量全体の内、厨芥が37.8%、庭木等の草木類が37.0%を占めている。

 これらの処理方法を見ると、ペットボトルやびん、缶、古紙類はほとんどリサイクル業者に売却するか、そのための保管に回されており、ごみとして排出した家庭はほとんどなかった。特に注目すべきは厨芥の処理で、89.2%の家庭が「家畜のえさ」と回答している。量の割合で見ると、サンプル家庭から発生する厨芥2.3トンのうち、1.5トン(65%)が家畜の餌として利用されている。聞き取り調査によると、厨芥のなかで特に食べ残しは農家に提供する習慣があるという。厨芥はバケツ等の容器に保管して、農家や専門の回収人が回収し、主に豚の餌として利用されている。これは多少の比率の違いはあるが全市域で行われている。

表2

表2 不用物の種類別の処理方法(複数回答)

4.まとめ

 組成調査とごみ家計簿調査の結果から、以下のことがわかった。

@ ホイアン市が収集・処理しているごみの3分の2は有機系のごみで、その半分は草木類である。草木類は自家処理から市のごみ処理に出される量が増えている。

A 9割の家庭が生ごみを飼料化ルートに出しており、調査対象世帯の生ごみ発生量の65%にもなっている。

B リサイクル可能なものはほとんどごみに出ない。非分解性のごみとして、プラスチックの袋や包装材など軟質プラスチックの量が多く、堆肥化処理のネックになっている。これらの減量と分別が課題である。

B ホイアン市のごみ減量のターゲットは、草木類と軟質プラである。草木類の自家処理と軟質プラを含む非分解性ごみの分別がキーになる。


  • 注1) OCRMの活動は以下を参照。「NGOによる3R経験の移転(ベトナム・ホイアン市におけるケーススタディ)」山本耕平、第22回廃棄物資源循環学会研究発表会論文集(2011.11)