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容器包装廃棄物の店頭回収の可能性と課題

代表取締役所長  山本 耕平

スチール缶リサイクル協会  酒巻 弘三、細田 佳嗣、小坂兼美

はじめに

 容器包装のスーパー等での店頭回収は、企業の社会的責任としての範疇を超えて、容器包装リサイクルに不可欠な社会システムとして重要な役割を果たしている。2006年の容器包装リサイクル法改正の際には、多様な回収ルートが確保されるよう店頭回収や集団回収を促進すべきとの指針が示された。環境省では2012年度に、店頭回収によるプラスチック製品リサイクルの実証事業「PLA−PLUS(プラプラ)プロジェクト」を実施するなど、容器包装以外のリサイクルルートとしての重要性も高まっている。

 スチール缶リサイクル協会とダイナックス都市環境研究所は、容器包装リサイクルにおける「民間主体回収の可能性」に着目して調査・研究を行ってきており、2011年度からスーパー等の店頭回収について各地の実例を調査してきた。(注1)本稿ではこれまでの調査にもとづいて、店頭回収の動向や可能性、課題について考察したい。

1.店頭回収の経緯

 スーパーが容器包装廃棄物の店頭回収を行うようになったのは、80年代の半ばから市民団体の活動に賛同した店舗型生協やスーパーが牛乳パックの店頭回収を開始し、牛乳パックリサイクル運動の広がりと共に、全国に普及していったことが契機である。またトレイメーカーのエフピコ(福山市)が1990年から自社物流を利用した店頭回収を全国でスタートさせた。現在、店頭回収で回収されている品目は多岐にわたるが、牛乳パック、トレイ、アルミ缶(スチール缶を対象としている店舗もある)、ペットボトル、ガラスびん等のほか、卵パック、廃食油、古紙等を回収しているところもある。

 ペットボトルの店頭回収は、東京都が95年に設置した「ごみ減量のための東京ルールを考える懇談会」が「東京ルールV」として「ペットボトルの店頭回収システム」を提言したことによる。その中で、@都民は分別を徹底し回収に協力、A販売事業者は回収ボックスの設置、管理、回収品の保管等を含め分別回収を行い、B容器・内容物メーカは中間処理施設において、ペットボトルの圧縮・梱包等の中間処理と再商品化を行い、C行政は店舗等の回収拠点から回収されたペットボトルの中間処理施設までの運搬を暫定的に行う、という役割分担がなされた。東京方式は他の自治体にも波及し、現在でも店頭回収したペットボトルを自治体が店舗から収集して再商品化しているところもある。

 90年代は事業者の環境への取り組みが飛躍的に進んだ時期でもあり、グリーンコンシューマー運動などが背景にあって、大手スーパーを中心に様々な取り組みを始めた。店頭回収もその一環として拡充され、現在では地方スーパーも含め店頭回収はスーパーの業務として位置づけられているといえる。(注2)

2.店頭回収の実績

 スーパーマーケット業界団体の調査によると、店頭回収の実施率はトレイが97.7%、牛乳パック90.5%、ペットボトル86.1%、空き缶70.3%、ガラスびん57.1%となっている。(回答数267社)

 また大手スーパー等のチェーンストア57社で構成する日本チェーンストア協会の統計によると、2011年度の店頭回収量の実績はペットボトル14,986トン、発泡スチロールトレイ11,403トン、牛乳パック9,977トン、アルミ缶5,395トン、スチール缶766トン、びん437トンとなっている。

図1

図1 店頭回収の実施率

図2

図2 店頭回収量の推移

 日本プラスチック食品容器工業会によると、1年間に回収される白色トレイは約16,000トンで、店頭回収での回収が75%を占める。全国牛乳容器環境協議会によると、家庭で発生する牛乳パックの回収量は56,200トンで、ルート別の回収量の内訳は、店頭回収が33,000トン、市町村の分別収集が13,900トン、集団回収が9,300トンとなっており、店頭回収が58.7%を占めている。また2011年のペットボトルの市町村分別収集量は297,914トンだが、チェーンストア協会加盟スーパーの店頭回収量だけでその5%に相当する。

 このように、トレイ、牛乳パックでは店頭回収はメインの回収ルートとなっており、ペットボトルについても回収ルートとして重要な役割を占めるようになっている。

3.店頭回収の事例

 店頭回収が容器包装リサイクルにおいて大きな役割を果たしていることから、自治体が積極的に関与し店頭回収の機能を活用している例もある。具体的には回収ボックスの設置や管理まで小売事業者が負担し、回収処理は自治体が行うという形態がある。ペットボトルのような容器包装だけでなく、乾電池などの回収を行っている例もある。店頭回収と自治体の拠点回収のハイブリッド型ということができる。店頭回収の具体的な例をあげる。

 [A社]関西を本拠地とするA社は、92年から牛乳パックの店頭回収を開始し、その後空き缶やトレイ、ペットボトルと品目を拡大してきた。大阪市では乾電池や蛍光灯の回収協力店制度を設けており、A社はこれに応じて店頭に回収ボックスを設置している。容器包装類は物流センターからの帰り便で委託会社のリサイクルセンターに運搬している。

 [B社]愛知県に本拠のあるB社は、物流センター内にリサイクルセンターを設けている。地域の状況や自治体との協力関係によって回収品目は異なるが、基本はトレイ、アルミ缶、牛乳パック、ペットボトル、プライベートブランドの卵パックを回収している。リサイクルセンターでは空き缶の選別とプレスを行い、トレイはトレイメーカーが物流センターに納品した帰り便で引き取る。ペットボトルは回収したまま業者に引き渡すが、東海地域では店舗から自治体が回収しているところもある。

 [C社]北関東を中心に店舗展開するC社では、91年から牛乳パック、アルミ缶、トレイの店頭回収を開始した。99年には魚箱の処理を目的としてリサイクルセンターを設置、08年に発砲スチロール箱の溶融装置、古紙のベーラー(圧縮梱包機)、ペットボトルの選別・プレス機、空き缶の選別・プレス機を設備した大規模なリサイクルセンターを開設し、店舗から発生するほぼすべての資源化可能物を自社で処理している。

 [D社]D社は北海道に拠点を置くコンビニエンスストア・チェーンである。コンビニは店舗スペースが狭いために店頭回収を積極的に行っているところは少ないが、D社では販売拡大のために05年からPBの牛乳パックの回収を開始し、08年からは卵パックと古紙の回収も行っている。PBの牛乳パック20枚または卵パック30枚を店頭に持ち込むと、ティッシュボックス1個と交換するというシステムである。古紙は無償。古紙は各店舗から発生する段ボールの回収ルートがあるのでそれに便乗して顧客サービスという意味で行っている。

4.店頭回収の課題

 店頭回収は小売事業者のCSR活動として行われているが、回収ボックスの管理、バックヤードでの保管、集めた資源物の処理など、店舗側の負担は大きい。一方では資源価格があがってきたため、大量に集めることで店頭回収の経済性、採算性を改善しようという考え方もある。調査を通して出てきた課題を下記にあげる。

@自治体との連携、協働
 スーパーは日常的に住民が通う場所であり、店頭回収はライフスタイルにあったリサイクルシステムであるといえる。分別収集を補完するシステムとして、自治体にとってもメリットは大きい。スチール缶リサイクル協会の全国自治体の調査によると、店頭回収を自治体と事業者が協力して実施していると回答した割合が17.7%となっている(表1)。自治体は店頭回収をスーパーの社会的責任とみなすだけではなく、地域の「社会システム」としてその意義を評価し、その活動を支援したり連携してリサイクルの実効性を高めるという考え方が必要である。

A廃棄物処理法の規制
 スーパーが回収した容器包装を運搬する場合に、廃棄物処理業の許可を求められるというケースがあった。廃棄物処理法では古紙や金属は「もっぱら物」としてその運搬に特段の許可は不要だが、トレイやペットボトルはプラスチックくずとして産業廃棄物に該当するためその運搬に許可を要するというものである。またワンウェイの空きびんが産業廃棄物のガラスくずに該当するとされた例もあった。

 廃棄物処理法の解釈や業の許可に関する対応は自治体によって異なっているのが実情であるが、店頭回収が廃棄物処理にとって大きな貢献をしているところから考えると、こうした廃棄物処理法等の規制についての対策が求められる。店頭回収したものは広域的に運搬できるような措置が必要である。

表2

表1 店頭回収の実施状況


  • 注1) 「店頭回収・拠点回収事例集−平成23・24年度民間回収ルート実態調査報告書」(2013年4月、スチール缶リサイクル協会発行)
  • 注2) 日本チェーンストア協会では、環境保全自主行動計画の中に「容器包装リサイクル法の遵守と店舗での資源回収の推進」を掲げている。