ごみ、リサイクル、防災、協働、まちづくり。地域の問題に取り組むシンクタンク ダイナックス都市環境研究所

廃棄物法制の課題−リサイクルを中心に−

代表取締役所長  山本 耕平

要旨

 わが国の廃棄物・循環関連法は、循環型社会形成推進基本法のもとに廃棄物処理法、資源有効利用促進法を置き、その下に個別リサイクル法があるという構図になっている。しかし各法律は用語の使い方や定義が異なる等、法律間の連携が図られていない。再使用、再生利用、熱回収という処分の優先順位の判断基準が曖昧で、特にプラスチックについては統一的な考え方が必要である。また国際的な資源確保競争を視野に入れた国内循環の仕組みを構築していく必要があるが、現在の法制度では不十分である。国内循環のためには事業者に再生製品化についての責務を定めるべきである。集団回収や店頭回収等回収ルートの多様化への対応も課題である。民間の活力を活かしたリサイクルの効率化を図るためには、規制の見直しや静脈産業の法的位置づけが必要で、民間をチェックするためには自治体にもっと権限を下ろすべきである。

キーワード:3Rの優先順位、国内循環、多様な回収、静脈産業、分権

1. はじめに

 わが国の廃棄物・循環関連法の体系は、環境基本法を最も上位の法律として位置づけ、その下に循環型社会形成推進基本法が置かれ、その下位法として廃棄物処理法と資源有効利用促進法が位置づけられている。廃棄物処理法と資源有効利用促進法は、相互に関連する法律として同時期に審議され改正されたことから、体系図では並立に位置づけられる。その2つの法律の下に個別物品の特性に応じた規制法として各リサイクル法があるという構図になっている。

 しかし、本来は先に制定されるべき理念法が後にできたことや、個別リサイクル法がそれぞれ問題の特性ごとに固有の制度設計を行っていることから、法制度全体としてみた場合に一貫性に欠ける面がある。

 また個別リサイクル法が制度設計された時点と今日とでは、再生資源の市況や企業の3Rへの取り組み等社会状況が変わっており、こうした変化に現在の仕組みが十分に対応しきれていないという問題もある。再生資源の市場は中国を中心に海外への輸出が拡大し、かつてはまったく想定していなかった資源の流出が問題となっている。それに伴って再生資源価格が上昇し、新たなリサイクルビジネスが生まれる等、回収ルートも多様化しつつある。

 本稿ではこうした社会状況の変化をふまえ、リサイクルを中心に現行法制度の課題について述べてみたい。

2. 3Rの優先順位

2.1 優先順位の規定について

 循環基本法では3Rの優先順位を規定しており、この考え方は個別リサイクル法にも適用される原則である。発生抑制、再使用、再生利用の優先順位は1994年の第一次環境基本計画に盛り込まれたもので、循環基本法であらためて規定したことは評価できる。

 「循環資源の循環的な利用及び処分の基本原則」(第7条)には「再使用をすることができるものについては、再使用がされなければならない」、「再使用がされないものであって再生利用をすることができるものについては、再生利用がされなければならない」、再使用や再生利用が「されないものであって熱回収をすることができるものについては、熱回収がされなければならない」と規定している。また「できる」とか「できない」とかの判断基準については「技術的及び経済的に可能な範囲」で、かつ「環境への負荷の低減にとって必要であることが最大限に考慮される」ことと規定している。

 しかしこれらの判断は現実には非常に難しい。技術的に可能という場合の技術はどのレベルの技術をいうのか、新しい技術開発をどこまで求めるのかという問題がある。また経済的に可能な範囲とはリサイクル事業の採算性がとれる範囲を意味するのか、経済性の範囲をどこまで評価するのかなどが曖昧である。

 環境負荷の軽減については分析手法としてLCA(Life Cycle Assesment)の活用が期待されるが、前提条件によって分析結果は変わってくるので、客観的な判断基準としては限界がある。たとえばリユースびんとワンウェイ容器のLCA比較では、リユースによって資源とエネルギーの節約に繋がり、温室効果ガスの排出削減に貢献することは確認できたとしているが、回収率や使用回数、容器の輸送距離によって結論は大きく左右され、リユースびんを優先するメリットがなくなる*1 。コスト面からみた場合、リユースびんはリユースのコストのほぼ全部が内部化されているため、収集コストを市町村が負担するリサイクル容器より高くなり、経済性という面でもリユースびんの優位性は高くない。つまり「できる」「できない」という考え方では、いずれリユースびんはなくなってしまう。

 循環基本法は基本法としての原則を提示するものであるが、個別リサイクル法とその運用段階においては、こうした判断基準を明確に示すとともに、優先順位を遵守した仕組みを構築していくという意思がなければなるまい。

2.2 再生利用と熱回収

 食品リサイクル法(以下、食リ法)では再生利用の手法として飼料化を優先的手法とし、飼料化できない場合に堆肥化やメタンガス化、炭化等の手法をとることとしている。熱回収については食品循環資源の再生利用施設が半径75km圏内になく、得られる熱または電気の量が1トン当たり160MJ以上(廃食用油等の場合は1トン当たり28,000MJ以上)である場合には熱回収設備のある施設で焼却等の処理をすることができる。

 食リ法の規定に対して、プラスチックのリサイクルには様々な課題がある。容器包装リサイクル法では、プラスチックの原材料等としての利用がなるべく望ましいという観点から、材料リサイクル手法を優先して取り扱ってきた。再商品化手法として認められているのは材料リサイクルとケミカルリサイクルで、熱回収は例外的に認められているのみである。

 (公財)容器包装リサイクル協会の落札実績をみると、2000年当初は材料リサイクルの落札比率は20%程度だったが、2004年度には約1/4、2008年度には約60%になった。材料リサイクルの落札量が増加した要因として、入札価格が高くても材料リサイクルが優先して落札できる仕組みがある。2011年度から優先枠の上限を50%としたが、仕組みそのものは変更されていない。材料リサイクルの落札価格はケミカルリサイクルより高く、2014年度の落札価格では材料リサイクルが6.3万円、ケミカルリサイクルが4.3万円となっている。材料リサイクル優先のために特定事業者からは再商品化委託料が高止まりしていることが問題視され、市町村からは過剰な品質を求められることに対する不満がある。

 容リ法の見直しの議論では、コスト削減や分別・選別の労力軽減という観点から、熱回収をどう位置づけるかが重要な論点である。現在は残さ処理のための焼却・熱回収や固形燃料化等が認められているだけであるが、円安で燃料価格が高騰しているために産業界ではRPFの需要が高まっている。業界の話ではRPF(Refuse Paper & Plastic Fuel:廃棄物固形燃料)は石炭の1/3から1/4の価格で売買されている。石炭価格を1万円/トンとすると3000円前後となり、コスト的には他の手法と比べて相当安くなる可能性が高い。

 容器包装プラスチック(以下、容リプラ)の再商品化手法の見直しはすべてのプラスチック廃棄物に影響するため、厳密な基準を策定しなければならないだろう。特定家庭用機器再商品化法(以下、家電リサイクル法)では、制度上は「再商品化等」として材料リサイクルと熱回収を再商品化の手法として位置づけているにもかかわらず、熱回収についての基準は策定されていないため、再商品化率の算定の対象にはならない。

 容リプラ以外の製品プラスチックのリサイクルについても検討の俎上に上がっており、食リ法のように処理の優先順位を保持しつつ、合理的な基準を定めて熱回収を認めるなど、処理体系を構築していくことが必要である。

3. 再生資源の輸出問題と国内循環の課題

3.1 再生利用の定義が問題

 循環基本法では、再使用、再生利用及び熱回収を含めて「循環的な利用」とし、循環的な利用の中で優先順位を定めている。これに対して各法律ではそれぞれ別々の用語を用い、その定義もばらばらである。

 資源有効利用促進法では、原材料として利用することができるものを「再生資源」、リユースできる部品等を「再生部品」とし、「再生資源又は再生部品として利用することができる状態にすること」を「再資源化」と定義している。再資源化の中には熱回収は含まれない。

 自動車リサイクル法も、使用済み自動車から原材料を回収して利用することと部品の再使用を含めて「再資源化」と定義しているが、ここでは再資源化の中に熱回収を含めている。建設リサイクル法では「建設資材廃棄物について、資材又は原材料として利用すること」と熱回収を含めて「再資源化」と定義しているが、建設資材廃棄物をそのまま用いることは再資源化の定義から除くとしている。

 食リ法では「肥料、飼料その他政令で定める製品の原材料」とすることを「再生利用」と定義している。熱回収は再生利用には含まれない。

 家電リサイクル法では「再商品化」という言葉を使い、「製品の部品又は原材料として」自ら利用するか、他者に「有償または無償で譲渡しうる状態にする行為」と定義している。熱回収は再商品化の手段として認めていない。容リ法も同様に「再商品化」という言葉を使っており、「製品の原材料として」自ら利用するか、「原材料として利用する者に有償又は無償で譲渡し得る状態にすること」と定義している。熱回収については、自ら利用する場合で政令に定めるものを再商品化の手段として認めるとしている。

 ここでの問題は、いずれの法律も使用済み製品から原材料として利用できる状態にするまでを再生利用、再資源化あるいは再商品化としていることである。拡大生産者責任に基づいて事業者は一定の責務を負っているが、回収した原材料の使用や再生製品の生産まで求められているわけではない。そのため、せっかく回収された再生資源(原材料)が、適正に活用されなかったり海外に輸出されたりしていることが問題となっている。

3.2 PETボトルの輸出

 2006年の容リ法改正では、PETボトルを指定法人((公財)容器包装リサイクル協会)ルートではなく独自ルートでリサイクル業者に引き渡している市町村が多く、結果として回収したPETボトルが国外に流出していることが問題視された。そのため法律の基本方針に「再商品化のための円滑な引渡し等に係る事項」を定め、「国の方針として、市町村により分別収集された使用済PETボトル等について、指定法人等への円滑な引渡しを促進すること」とする通知が出された*2 。

 その後PETボトルは再生資源としての価値が高まり、一定のロットがまとまれば有価物として取り引きされるようになった。(公財)容器包装リサイクル協会の入札でも離島等を除いてほぼ全国的に有償入札となっており、この売却益は市町村に還元することとなった。この措置によって指定法人への引き渡しを促進しようと考えたものである。ちなみに2012年度に市町村に還元されたPETボトルの売却益は79億円に達する。

 ところで指定法人から落札したリサイクル業者は、PETボトルを破砕しフレーク状に加工する。フレークにしたものは原材料として有償で取り引きされるので、この段階まで加工すれば再商品化したことになるが、フレークが国内で使用されるとは限らない。法律では原材料にするところまでを再商品化としているので、フレークにした後の輸出を規制することは難しい。

 図1のフロー図によると、2012年度の調査でPETボトルの自治体回収量は29.9万トン、事業系回収量は22.8万トンで、合計52.7万トンの回収量のうち30.8 万トンが輸出されている。これに対してPET樹脂の供給元をみると国内生産72万トンに対して輸入が78.1万トンで、国内再生樹脂が25.4万トンとなっている。

図1

図1 PETボトルのマテリアルフロー図

PETボトルリサイクル推進協議会HP(単位千トン)

 PETボトルは価格の上昇に伴って取り扱う業者が増えている。回収したPETボトルを粗選別して破砕し、フレークにする事業が一般的だ。廃棄物処理業者、再生資源業者、プラスチック加工業者等の関連業者が新規ビジネスとして行っているほか、福祉団体等が障がい者雇用の一環として実施しているケースもある。輸出はこうした中小事業者が中国等からのバイヤーを通して行っていると思われるが、実態は明らかではない。

 輸出に伴う問題は、社会的コストを費やして回収した資源が流出することの問題のほか、国内では再生製品メーカーの原料確保が難しくなっていること、特にボトルからボトルへという水平リサイクルの技術が開発されているが、輸出との価格競争で新しい技術の普及の妨げになっていること等がある。またPET樹脂が国内生産量を上回って輸入されている現状では、国内再生樹脂の比率を高めることが望まれる。

3.3 国内循環に対する事業者の責務

 法制度の整備が進みリサイクルはかなり進展したといえるが、次の段階ではさらに質の高いリサイクルを目指す必要がある。特に使用済み製品から元の製品に戻す水平リサイクルが次の課題である。

 家電リサイクル法によって回収されたプラスチック等を使用した部品が、新しい製品に使用される等、一部ではこうした取り組みが行われている。しかしこうした取り組みは事業者の自主的な取り組みとして進められているものなので、法制度の中に事業者の責務として位置づけていくことが必要である。

 容器包装ではガラスびんは素材的にもともと水平リサイクルが行われていたが、アルミ缶は鋳物製品等の原料とされていたものをメーカーが「Can to Can」の技術開発を行い、2013年度の調査では68.4%が水平リサイクルされている。スチール缶はもともと鉄筋等を生産する電炉の原料とされていたが、現在では高炉メーカーの製鋼工程でも使われており、缶材を含む高級鋼板になっているので、一部は水平リサイクルされているといえるだろう。

 PETボトルは、ケミカルリサイクル(化学的再生法)とメカニカルリサイクル(物理的再生法)という2つの方法でボトルに再生するB to B(Bottle to Bottle)が実用化された。ボトル向けPET樹脂使用量61万トンのうち再生樹脂の使用量は2.8万トンとまだわずかであるが、技術的にはほぼ確立した水平リサイクルをどう拡大していくかが次の課題となっている。

 リサイクルの質を高めていくためには飲料メーカーや容器メーカーだけでなく、素材メーカーも含めて業界全体での技術やシステムの開発が必要である。廃棄物処理は国内処理が原則で、リサイクルも国内循環が基本である。そのためには事業者に対して、水平リサイクルや質の高いリサイクル製品の生産等の技術開発を促す施策を進めるべきである。プラスチック容器包装のリサイクルに関しては、技術力のあるプラスチックメーカーを含む事業者の取り組みが求められる。

 現在の法体系では原材料化までがリサイクルとされているが、生産者に対して再生資源の利用や再生製品の生産など、循環利用のループの形成にまで一定の義務を課すべきではないか。

 

4. 回収ルートの多様化への対応

4.1 集団回収の位置づけ

 家庭から発生する資源物の回収ルートは多様化している。容器包装廃棄物については市町村の分別収集以外の集団回収やスーパー等の店頭回収のウエイトが高まっている。現在の法制度は、こうした多様な回収ルートを想定しておらず、民間のリサイクル事業をうまく活用したり、あるいは適切に規制するという点で課題がある。

 容リ法は2006年の改正において、こうした多様な回収ルートが確保されるよう店頭回収や集団回収を促進すべきとの指針が示されている。

 集団回収は市町村の資源分別収集(行政回収)以前から行われている活動だが、近年は集団回収の比重が高まっている。再生資源価格の上昇によって、集団回収の回収対象品目も拡大しており、古紙やアルミ缶だけでなく、スチール缶、PETボトル、トレイ、紙製容器包装を含む雑紙等までに広がっている(表1)。

表1 集団回収の対象品目(2013年度)

  区市数 割合(%)
新聞、雑誌・段ボール 576 99.8
古布類 459 79.5
アルミ缶 458 79.4
牛乳パック 400 69.3
生きびん 367 63.6
スチール缶 359 62.2
鉄くず類 195 33.8
ペットボトル 136 23.6
トレー類 33 5.7
廃食油 18 3.1
有害物 7 1.2
その他 91 15.8
全体 577 100.0

出典:スチール缶リサイクル年次レポート2014

 市町村は集団回収に対して団体への奨励金や業者に対する補助金を交付して支援しており、行政が関与しているケースが多い。もはや公共的なシステムとみなしてよい。横浜市では行政回収の対象としてきた古紙と故繊維は集団回収に全面的に移行した。東京都荒川区では行政回収を廃止し、すべて集団回収に移行している。このように古紙等の価格が上がってきたことから、民間主導の回収に戻すケースが出てきている*3 。

 集団回収は行政回収よりも効率的で、コストも安い。集団回収を活用することで、リサイクルの社会的コストも低減する可能性は大きい。そのためには、集団回収を行政回収に準じたシステムとして法的に地位を与え、回収した資源物については行政回収と同様に特定事業者に引き取りを義務づける等の措置が必要である。

4.2 店頭回収の阻害要因

 容器包装廃棄物の回収ルートとして、店頭回収も大きな比重を占めつつある。店頭回収は80年代半ばに牛乳パックの開始運動から始まり、90年頃にはトレイメーカーが自社物流を利用してトレイの回収を始めたことがきっかけで、全国のスーパーに普及していった。現在、店頭回収で回収されている品目は多岐にわたり、牛乳パック、トレイ、PETボトル、アルミ缶が標準的な対象品目だが、スチール缶、ガラスびん等の容器包装のほか、卵パック、廃食油、古紙等を回収しているところもある。

13年に筆者らが実施した店頭回収に関する自治体アンケート調査によると、店頭回収を「リサイクルルートの重要なルートとして位置づけている」という回答が35%、「ある程度は重要なルートとして位置づけている」が39%で、回答のあった市町村の多くが店頭回収を重要なルートと考えている(表2)。

表2 市町村における店頭回収の位置づけ

  %
リサイクルルートの重要なルートとして位置づけている 97 35%
ある程度は重要なルートとして位置づけている 110 39%
今後は重視していきたい 35 12%
今後もそれほど重視しないと思う 26 9%
その他 13 5%
合計 281 100%

出典:「民間回収ルート実態調査報告書」(2014年5月 容器包装の多様な回収研究会)

*13年度の「スチール缶の資源化に関するアンケート」において、「店頭回収を実施している」と回答のあった368自治体を対象に実施した。有効回答281件。

 市町村の関与や協力度をみると、「直接的な支援や協力はしていない」が54%で半数以上だが、「店頭回収したものを自治体が集めてリサイクルしている」が25%あり、回収容器や回収のための資機材の提供、のぼりや看板等の提供を行っているところも少なくない。協定や覚え書きを締結して市町村が10団体あった。

 ところで、スーパー等が店頭の回収容器で回収した容器包装廃棄物は、法的にはどのような位置づけになるのだろうか。容リ法では、法の対象とする容器包装廃棄物を「容器包装が一般廃棄物となったものとする」と定義しているが、店頭回収は容リ法に位置づけられた制度ではないため、ただちに容リ法と同じ定義が当てはまらない。

 自治体によって多少区分は違うようだが、店頭回収で回収された容器包装廃棄物は産業廃棄物扱いしているところが多い(例えば新潟市の見解では、紙パックは一般廃棄物だが、缶、トレイ、PETボトル等はすべて産業廃棄物に該当するとしている) *4。

 消費者が家庭で発生した容器包装廃棄物を店頭に持ってきたものであっても事業活動に伴って発生した廃棄物であるとし、缶は金属くず、PETボトルやトレイはプラスチックくず、ガラスびんはガラスくずとして産業廃棄物に区分している。産業廃棄物とみなされると、店舗からの搬出や物流センターでの積み替えや保管に厳しい規制がかかることになる。

 店頭回収は、容器包装以外の資源の回収ルートとしても大きな役割が期待されているが、スーパー業界からは廃棄物処理法の規制が効率化を阻害し拡充の制約になっていると意見がある。店頭回収を促進するためには、収集運搬や選別保管の効率化とコスト削減が課題で、市町村域を超えて収集できる仕組みと、物流センター等での選別、圧縮、保管、積み替え等の作業や施設に関する規制緩和等の措置が求められる。

5. 静脈産業の法的位置づけ

5.1 再生資源の市場環境の変化

 容リ法は、制度設計された時点では容器包装廃棄物の再生資源としての価格が安く、市町村が分別収集した後、リサイクルするために費用がかかることを前提とした制度である。しかし2000 年代初頭以降、中国・インド等の新興国における経済成長の加速に起因して、新興国を中心に資源需要が爆発的に増加し、中国等の大需要国は海外資源確保への取り組みを加速させている*5 。その結果、再生資源価格も上昇し、再生資源の市場環境には大きな変化がもたらされた。

 国際的に取り引きされてきた鉄や銅、アルミ等の金属スクラップ以外に、国内で循環していた古紙も輸出量が増え、現在では国内の古紙回収量2000万トン強のうち500万トン近くが輸出されるようになった。PETボトルは2012年度の調査では、回収量約63万トンのうち31万トンが輸出されていて、どちらも仕向地としては中国が圧倒的に多い。日本の再生資源は品質がよいため需要が多く、価格も国内より高い。

5.2 回収業者の正規化

 こうした再生資源市場の変化によって、2つの大きな問題が惹起している。

 第一は「持ち去り問題」である。1999年に東京都の清掃事業が区に移管されたが、その際に東京ルールTと称する古紙の行政回収が開始された。この制度が検討された当時は古紙価格低落の時期にあり、一時は逆有償という事態になっていた。そのためごみ減量の観点から行政回収が導入されたわけだが、これをきっかけに大都市での行政回収が拡大した。その結果、ごみ集積所に排出された古紙を持ち去る行為が目だちはじめ、古紙価格の上昇とともに組織的に大規模な「持ち去り業者」が出現するに至った。また容リ法に伴って、アルミ缶の持ち去り行為も目に余る事態となっている。ごみ集積所に排出されたものは民法上は所有権を放棄した無主物であるため、これを無断で持ち去っても必ずしも罪に問われることはない。そのため持ち去り防止条例を制定し、これらの行為を違法行為として規制できるようにしている自治体も少なくない。

 (公社)東京都リサイクル事業協会の試算では、東京都における持ち去り行為による損失額は年間15億円と推計している。不法行為を防止しつつ適正な民間のリサイクル事業を促進するためには、回収業者に対しても登録制度を設ける等正規業者に法的な位置づけを与え、持ち去り行為を行うような業者を排除することが必要である。

5.3 再生資源業界の支援・育成

 第二は再生資源が国際相場で取り引きされるようになると、質の高い再生資源が国外に流出し、結果として国内メーカーにとって原料高となり、製品価格にも影響してくることである。古紙にしてもPETボトルにしても、品質がよいのは消費者と自治体の努力によるもので、その利益は消費者に還元されるべきである。質のよい再生資源を「生産」するために、相当の社会的コストをかけているわけだから、単純な市場原理によって輸出にまわってしまうというのは納得がいかない。前述したように、国内循環するためには再製品化までを事業者の責任として仕組みを構築していく必要があると考えるが、同時に再生資源業についても一定の役割と責任が求められるのではないか。

 回収を中心とする再生資源業者の全国組織である日本再生資源事業協同組合連合会(日資連)では、団体独自の制度として「再生資源事業者認定制度」を設けている。回収した資源の販売先が確保されていることや、回収に際しての注意事項を遵守することなどの基準を定め、認定事業者は日資連が定めた様式による産業廃棄物のマニフェストに類似した「リサイクル化証明書」を発行することができる。こうした業界の自主的取り組みをベースに、産業廃棄物と同様に優良業者、適正なリサイクルを行う業者を育成・支援する仕組みが求められる。

6. リサイクル制度の分権化と自治体の役割の見直し

6.1 集権的な現行制度

 現在のリサイクル法制において、もっとも重要な課題の1つは自治体の責務や役割についてである。しかるに個別リサイクル法の見直し審議等でも、大きな論点にならないのは不思議だ。

 廃棄物処理法では一般廃棄物の処理を市町村の責務と位置づけており、排出抑制や適正処理に関する一般廃棄物処理基本計画の策定を義務づけている。これに対して、発生抑制や再使用、再生利用の促進に関する市町村の役割や権限は明確に規定されていない。基本的に各リサイクル法は国が一元的に運用する仕組みとなっており、都道府県や市町村が発生抑制やリサイクル施策に対して関与する規定がほとんどない。法律では事業者に対する規制を講じているが、自治体にはチェックする権限が定められていない。依然として役割はパイプの出口で廃棄物を処理することで、焼却や埋立からリサイクルへとルートが変わっただけだ。

 たとえば容リ法ではいわゆるフリーライダー対策が問題とされているが、事業者を指導監督する権限は自治体にはない。都道府県や市町村では協議会等を組織してレジ袋削減運動を行っているが、事業者がどのくらいレジ袋を使用し、削減したかという報告は国にあげられるのみで、自治体単位の実績は公開すらされていない。

 また家電リサイクル法では廃家電製品の引き取り等における監督業務は国が直接行うこととなっているが、こちらもきめ細かく監視の目を張り巡らすことは現実的に困難だ。しかも監督がいき届かないために不適正処理や不法投棄された場合は、市町村がその後始末をせざるを得ない。市町村が小売業者への報告徴収や立ち入り検査を行う権限を認めていないにもかかわらず、後始末だけをさせられるのは不合理だ。大手家電小売店が消費者からリサイクル料金を徴収しながら、メーカーに引き渡さず、中古家電として輸出して問題になったケースもあったが、市町村に権限があれば早期にチェックできたかもしれない。

 食リ法では2009年度から食品廃棄物を年間100トン以上排出する食品関連事業者に対して、食品廃棄物等の発生量や食品循環資源の再生利用等の状況を国に報告することを義務づけた。食品産業全体では約12万の事業者があり、うち定期報告の対象となっているのは約4300程度である*6 。食品廃棄物のリサイクルを進めるには、年間100トンに満たない事業所でも上乗せ規制を可能にする等、自治体の実情に応じた裁量を認めるべきである。再生利用事業者登録も国が窓口で、登録された業者の名前は都道府県に通知されることになっている。このような業務は都道府県の法定受託事務として行ったほうが、適切な対応ができる。市町村が窓口となっても何ら支障はないはずである。

6.2 自治体の役割の見直し

 いくつか例示したように、各リサイクル法は原則的に国が直接執行する制度になっており、自治事務として行われている市町村の一般廃棄物行政と一体化が図られていない。一般廃棄物処理基本計画で域内の事業者に対して発生抑制やリサイクルの推進を定めたとしても、権限がないためそれを有効に実行することができない。

 廃棄物の削減・発生抑制をすべて規制的手段で推進することは現実的ではないが、事業者の自主的取組について実効性をもたせるためには、業界で数値目標を設定してそれを検証するシステムが必要である。またそれらの取り組みについては、事業者だけでなく消費者や自治体と連携・協働して取り組むことが効果的だ。多くの自治体では三者による協議会やプラットホーム型の組織を設置して、協働の取り組みを進めている。こうした活動を法的に位置づけることも考えられる。現行の法制度はもっと分権の視点を入れて、自治体の役割を積極的に位置づけていく必要があろう。

 

  • *1) 容器間比較研究会(ガラスびんリサイクル促進協議会):LCA手法による容器間比較報告書(改訂版)(2001)
  • *2) 環境省:分別収集された使用済ペットボトル等の再商品化のための円滑な引き渡しの推進について(通知)(環廃企発第061016004号)(2006)
  • *3) スチール缶リサイクル協会:集団回収マニュアル(2010)
  • *4) 新潟市:大規模小売店舗立地法の手引き(2010)
  • *5) 首相官邸資料:資源確保戦略(2012)
  • *6) 農林水産省・環境省資料:食品リサイクル法の施行状況(2013)

Issues of the Waste Management Act for a Sound Material-cycle Society:

Regarding a Recycling

 Kohei Yamamoto, DYNAX Urban Environment Research Institute

Abstract

 There are a number of separate legislations within the Waste Management Act, which include the Waste Disposal and Public Cleaning Act and the Act for the Promotion of Effective Use of Resources under the Basic Act for the Establishment of a recycling-Based Society. Under each of these Acts, an individual recycling Act has also been established, however the use of terminology does not always perfectly coincide. In particular, priorities given to the recycling process for disposing of plastics is not completely made clear. Although establishing a sound material-cycle society is the goal, the current laws are still lacking to make this possible. In order to realize the objective of creating a sound material-cycle society, manufacturers must take on the responsibility of developing recyclable products. There are also other issues that must be addressed, such as maximizing collection sites and storage plans. To implement an efficient system for recycling within the private sector, the local government is authorized to conduct an audit on the private sector so that regulation must be revised.

 Keywords: Priority of 3R, sound material-cycle society, maximization of collection routes, the venous industry, decentralization