これまでの取り組み

ニュースレター Vol.4

「まち美化モデル実験」レポート (その2)

 首都圏の約10自治体の美化担当者の集まりである「美化研究会」の研究活動の一環として、東京都清瀬市で『まち美化モデル実験』が実施されました。今号では、実験の概要をお知らせします。

 実験は、昨年の12月から本年2月末にかけて実施されました。
 対象エリアは、清瀬市の玄関口として、多くの市民が利用する公共空間となっている西武池袋線清瀬駅の南口及び北口です。
 また、まち美化の取り組みでは、地元住民と行政との連携が求められることから、この実験でも、まず地元と行政のパートナーシップづくりを進めることとしました。
 実験の開始に先立ち、地元の商店街・市民ボランティア・清瀬市役所が参加する「美化懇談会」を発足させ、清瀬市の美化問題について意見交換しながら、実験の進め方を調整していきました。

 今回の実験では、地域がまちの美化を進める試みとして、次の点を重視しました。

@まち美化に地元の事業者や市民が取り組むきっかけとなること

A「分別型回収容器の設置」「清掃(門掃き)」を中心に、散乱防止策の効果を検証すること

 @に関係する主な実験としては、清瀬駅北口で、地元商店街や清掃ボランティア、市の廃棄物減量等推進員、美化研究会の会員などに参加を呼びかけ、散乱の状況を観察して歩く「まち歩き」と、散乱状況を絵地図にまとめる「環境カルテ」づくりを行いました。参加者からは、「ゆっくり歩いてみると、結構散乱ごみがあることに気がつきました」といった声があがりました。
 この他にも、散乱の様子を市民が定期的に観察する「市民パトロール」を、南口・北口の双方で行いました。
 また、まちの清掃方法として、機械による清掃は効果的です。
 機械清掃は目立つため、まち行く人たちへの啓発・アピール効果もあります。
 そこで、清掃機械のデモンストレーション走行も行いました。走らせた機械は、ドイツ製の一人乗り車両『ギャロピオ』。立ったまま操縦し、通常は回転ブラシでごみを集めますが、狭いところや犬のふんなどの清掃用に、掃除機のような自在式ノズルもついています。今回の走行が日本初お目見えだったのですが、通行者の注目は高く、デモ走行を見学した自治体担当者からは、「アピール効果が期待できる」との声が上がっていました。
   「分別型回収容器の設置」と「門掃き」は、主に清瀬駅南口周辺とロータリー、北口駅前ロータリーで実施しました。
 「分別型回収容器の設置」実験では、南口で2週間、北口で1週間にわたって缶用・ビン用・その他ごみ用の3種をセットで設置し、投入されたものの種類や個数などを調べました。
   また、駅前では吸い殻のポイ捨てが問題になっていることから、灰皿スタンドも設置しました。
 紙くずやレジ袋等を対象にしたその他ごみ用の回収容器を、缶・ビン用の回収容器と併設すると、分別の程度が高まった印象があります。とくに、自販機脇に1個だけ常設されている回収容器と比較すると、併設での異物混入は少なくなるようです。容器包装の資源化までを考えた散乱防止策として、分別型回収容器の設置が考えられます。
   「門掃き」については、地元商店街の協力を得て実施しました。  清瀬駅南口の場合、約1ヶ月にわたり、地元の2商店街・約130店舗が参加し、毎日の店頭の清掃で、どれぐらいごみが出るかをチェックしてもらいました。
   また、駅前ロータリーでは、日ごろ清掃作業を実施している(財)清瀬市シルバー人材センターに、1週間ずつ3回にわたって、散乱ごみの数と種類を記録してもらいました。
 「門掃き」で目立ったごみは、たばこの吸い殻です。とくに、人の集まる駅前ロータリーでは、毎日2回清掃が行われていますが、その度にたばこの吸い殻が数百個単位で集められました。
   『まち美化モデル実験』を通じて、散乱ごみ問題への地域の意識は高まっています。
 今後、「美化懇談会」を発展・継続させるなど、地域が一体となった取り組みに向け、清瀬市の新たな動きが期待されます。